スチャダラパー Wild Fancy Alliance 元ネタ
スチャダラパーの名盤『Wild Fancy Alliance』の元ネタをまとめて紹介します。
Wild Fancy Allianceとは
Wild Fancy Allianceは1993年発売のスチャダラパーの1stオリジナルアルバム。このアルバムは、非常に音が作りこんでいて、様々な切り口で社会をみるという風刺的なリリック、韻を踏む気がないラップという様々な要素が組み合わさって、非常に奥行きのある何度聞いても飽きない日本が誇る名盤。
20年以上前のアルバムですが、古さを全く感じさせないアルバムです。
この作品で度々使われる「ヒマ」という言葉。
あくせくすることが苦手で、何かをぼんやり、かつ真剣に考えるのが好きな人達。
そんな人にこそ聴いてほしい作品。
日常を意味する「ヒマ」を用いて語られる哲学。
20代前半の若者とは思えないほどに深い観察力。
時間や個々人の価値観の相違など余りにも先を行き過ぎたリリック。
「ヒマの過ごし方」なんて、こんなの書けるグループは
他にいないでしょう。「後者」なども楽しい掛け合いの中に真理があります。トラックはオールドスクールの影響が全面に出ていて、
軽く抜けのいいドラムに明るめのホーンやピアノが絡み、
そこにウッドベースが乗る感じです。
90年代後半以降は重く太いドラム・ベースラインで統一されますが、
この頃のファンキーなトラックもまた聴いてみたいところ。HIPHOPは悪さ自慢・女自慢・サクセスストーリー披露だけではなくて
もっと自由なもののはず。そのことを思い出させてくれる、
日本では稀有なグループです。
原曲と元ネタの動画が貼ってあるので、是非、聴き比べてみてください。元ネタが見つからず、紹介できない曲もありますので、ご了承ください。紹介する曲順はアルバムと同じ順番です。
それではどうぞ!
Wild Fancy Allianceの元ネタ
※画像クリックで再生されます。
1.プロローグ
プロローグ
小ネタ(1:47~)
En Vogue / Hold On
スチャダラパーのsingoによる音の洪水のような怒涛のイントロ。この音で一気にWild Fancy Allianceの世界に引き込まれる。
恐ろしい数のサンプリングをしているであろうこの曲ですが、見つけ出したのはたった4曲でした。しかもHookやビートに直結しないものばかり。その中で一番しっくりくるものを選びました。
2.ヒマの過ごし方
ヒマの過ごし方
Hook部分(0:02~と1:08~)
You Make It Easy / Laura Tequila Logan and the Tony Williams Lifetime
これはもうそのまんまですね。このままヒマの過ごし方が歌えそう。
ビートもまんま、女性が歌う所もまんま。
3.Craker MC's
Craker MC's
ドラム(1:02~)
Slippin' Into Darkness / Ramsey Lewis
50年以上前のグラミー賞も受賞したジャズバンドのThe Ramsey Lewis Trioからのサンプリング。激シブ。ちなみにこの『Craker MC's』は、スチャダラパーの名『サマージャム '95』でもサンプリングしてますね。
5.Kick it,JAWS
(ベースライン 0:00~)
Cool Jerk / Capitols
The Captalsという1960年代のソウルグループから。いったいこんなもんどこで仕入れてくるんだろうか。
6.トリオ・ザ・キャップス改
すいません。原曲はYouTubeにあがっていませんでした。
(ビート 0:00~)
Synthetic Substitution / Melvin Bliss
(ベースライン 0:00~)
River's Invitation / Freddy Robinson
良いサンプリング。
ベースラインのRiver's Invitation / Freddy Robinson が渋すぎる。こんな激シブなフレーズから、スチャダラパーのおちゃらけた曲が構成されていると思うと、ヒップホップって面白い。
7.後者 -THE LATTER-
後者 -THE LATTER-
メインループ(0:10~)
The Headhunters / Daffy´s Dance
これもそのまんまサンプリング。そのまま歌える。
The Headhuntersというフュージョンジャズバンドから。
8.ついてる男
すいません。原曲が見つかりませんでした。
(0:00~)
Gotta Break Away / Ruby Andrews
メインループ(0:00~と2:03~)
Fool's Paradise / The Sylvers
どっちの元ネタが最高すぎる。
こんなゴリゴリのソウルと漫才みたいなリリックの融合。
この曲『The Sylvers Fool's Paradise』は、この記事をまとめての一番の収穫だったかもしれない。
12.彼方からの手紙
彼方からの手紙
メインループ(0:00~)
Breezin' / George Benson
George Bensonのインスト曲からのサンプリング。ベースが渋すぎる。なかなかHIP HOPとは結びつかなそうな曲ですが、このように使いこなすのが流石の腕。
最後に
いかがだったでしょうか。
紹介できない曲もありましたが、このアルバムは他にも多くのサンプリングがあると思います。
この記事を書いていて自分自身非常に楽しかったのですが、痛感したのはスチャダラパーの音楽の幅広さ。Wikipediaにも載っていないようなアーティストもいくつかありました。一体、どうやって見つけてくるのか不思議です。
また、こんなにも音を作りこんでいるのに、惜し気もなく、その上にふざけたリリックを乗せれるというのが、流石です。(日常系の歌詞で、最高ですが)
またこのような形で日本語ヒップホップの元ネタをまとめていこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。